住宅は高価な買い物です。ゆえに手持ち資金で全額まかなえる人はあまりいません。ほとんどの人は住宅ローンを利用します。借金自体は良いものでも悪いものでもありませんが、支払い能力を超える借金は生活にダメージを与えます。
住宅購入後もゆとりある生活を営むには、借りられる金額と返済できる金額を理解し、しっかりとした資金計画を立てる方がよいでしょう。
結論としては、頭金はあればあるほどよいというのが本当のところです。
(例)
4,000万円を住宅を購入しようとして、頭金800万円準備していたとします。
この場合、借入金は3,200万円です。
【条件: 借入金3,200万円、固定金利1.44%、返済期間35年】
月々の支払いは、97,000円です。
では、4,000万円をフルローンで借り入れたとします。
【条件: 借入金4,000万円、固定金利1.44%、返済期間35年】
月々の支払いは、121,300円です。
月々の返済が、頭金ありの場合とない場合では、約24,000円違います。この差をどうとるのか人それぞれですが、35年間にわたり可処分所得が月24,000円変わってきます。
営業としては言葉でさらっと説明して、この話題をさらっと切り上げたいところですが、生活をマネジメントするためには必要な情報なので記載しておきます。頭金があるにこしたことはないということがお分かりになったと思います。
ただし、頭金が準備できなくても100%のフルローンは可能です。
ご相談ください。
大まかに考えると、無借金の場合、年収の5~6倍は借りられると考えられます。しかし、よく使われている返済可能額の指標は返済負担率です。
返済負担率は、以下の計算式で求められます。
(住宅取得に必要な借入金の年間返済額+住宅以外の借入金の年間返済額)÷世帯年収
ここで注意しなければならなのは、住宅取得に必要な借入金と住宅以外の借入金を合わせて年収の35%以下に抑えると生活を守りながら、無理のない返済ができるという一般論があるということです。しかしながら、一般論といえどもあながち的外れでもないのです。
感覚的に理解できるように表で説明していきます。
【表1.年収別の返済比率に応じた毎月の返済額】
この表の毎月の返済額は、「ゆとりある返済」の目安になります。
計算式は、額面年収 × 返済比率 ÷ 12カ月 = 毎月返済額 で計算しています。
この表では、年収600万円の年収で返済比率20%ならば、月々10万円を返済にあてられると分かります。返済比率35%で月々17.5万円なので、住宅ローンで10万円、その他ローン(車など)で7.5万円と割り振っても無理のない返済ができそうです。
ちなみに年収600万円であれば、手取りが480万円くらいになることが多いので、月40万円の生活費から17.5万円をひくと、月22.5万円で生活をしていくというイメージになります。なんとなく実感がわくイメージかもしれません。
【表2.年収別の返済比率に応じた借入額】
【条件:返済期間35年、金利1.3%の場合】
返済比率ごとの借入可能額の目安です。
この表では、年収600万円の年収で返済比率20%ならば、約3,300万円まで借り入れができるということを表しています。金融機関の審査があるので一概には言えませんが、無借金であればこの辺りまでは借りられる可能性は高いです。
【表3.物件価格と返済期間に応じた毎月返済額】
【条件:ボーナス月の負担なし、金利1.3%の場合】
年収600万円の世帯で、住宅ローンの返済比率を20%とすれば、月々10万円まで住宅の支払いにまわせるということでした。
では、月々10万円の支払いで、いくらまでの住宅が購入できるのか、感覚的に理解していただければと思います。
35年ローンでしたら、3,300~3,500万円の住宅が月10万円前後の支払いで購入できます。
こんな感じで直感的に大まかな数字をつかんでいると、住宅購入後の「こんなはずではなかった。」を事前に防げます。
最後に、金融機関の審査時の返済比率を記載しておきます。
【フラット35の返済比率の基準】
一律、年収が400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下
借入上限は8,000万円
【一般的な住宅ローンの返済負担率の基準】
年収100万円以上300万円未満は20%以下
年収300万円以上450万円未満は30%以下
年収600万円以上は40%以下
借入上限は1億円
※ただし、個別の条件は金融機関による。
【参考URL】
https://life-soleil.jp/loan-arrears/q-and-a/appropriate-repayment-ratio/